この先どんな医師でありたいかといった将来的なイメージを持つことが、医師の人生において大切なことだといいます。そして、医院の開業は医師自身の志を叶えるチャンス。また経営者として新たな領域へ踏み込むことになり、人生の大きな転機でもあります。
そんなとき頼りになるのが、開業前だけではなく開業後もサポートしてくれる開業支援企業です。このサイトでは開業を目指されるドクターに向け、開院するためのノウハウや開業支援企業をご紹介します。
クリニックの開業に臨むなら、まずはどのような工程があるのかを確認することが重要です。工程を知ることは、自分で対応できるものと、専門家に任せた方が良いものを選別する指標を作ることにも繋がります。
左図は開業までの大まかな流れです。流れに記載されているそれぞれの項目には、さらに細かい業務が詰め込まれています。
例えば、「開業時期と経営計画の策定」には、その中に経営理念・コンセプトの策定や、集患が可能なエリア選定、資金調達の方法などが盛り込まれています。
また、「物件の選定」には、不動産会社の調査・選定、紹介を受けた物件の絞り込み、内見など、時間と手間と決断を必要とする項目が複数含まれているのが分かるのではないでしょうか。
このように開業までには数多くの業務が存在するため、ご自身だけで全てをこなすのは、よほど効率的に対応しないと難しいと言えます。
そのため、自分で対応できるものと専門家に任せた方が良いものを選り分けて、開業に向けてスムーズな段取りを組むのが、成功への第一歩です。
なお、クリニック開業のコンサルティングを行っている企業では、これら流れの全てをサポートする会社も存在します。ご自身の手間をできる限り減らしたい方は、多くのサポートを行っている企業を探してみましょう。
開業の流れを確認することで、開業までには多くの工程があることを確認できたと思います。中にはこれまで対応したことのない業務もあるのではないでしょうか。
これら全てを一人で対応しようとすると、体力的・精神的に大きな負担になることは明白です。
クリニックの開業を成功に導くには、できる限りのことを専門家に任せ、自分は物件の選定や医療機器の発注、スタッフの採用など、経営に大きく関わる業務に注力する状況を作ることです。それを実現させるためにも、クリニック開業に特化したコンサルティング企業を頼ることをお勧めします。
クリニック開業支援を行っているコンサルティング企業では、先ほど記載した開業時における工程のほぼ全てをサポートしている企業が多くあります。
自身の負担を取ることで頭に余計な負担をかけず、より質の高い決断をする。コンサルティング企業は、ご自身の理想を叶えるために利用するようにしましょう。
開業はあくまで成功への第一歩。重要なのは、その後のクリニック経営です。
それを踏まえて、クリニック開業のコンサルティング企業を選定する際には、下記の条件を目安に考えると良いでしょう。
この2つの条件を挙げた理由を詳しく説明していきます。
開業希望エリアでの開業支援実績があるということは、一度そのエリアについて、開院して勝てるかどうか調べる「診療圏調査」の経験があり、他院とバッティングせず集患できる適切な提案ができるということです。さらに、開業支援を行ったクリニックのドクターから、その後の経過についても報告を受けている場合もあるため、調査時には分からないそのエリアの特性を知ることができるでしょう。
また、一度利用した不動産業者や建築会社へのコネクションができているため、オープンまでをスムーズに進められることが期待できます。
開業後には診療のほかに、院内フローの作成や業務改善、スタッフ育成、人事・労務管理、集患対策のための広報・広告作成、レセプト処理、税務関連処理など、様々な業務が発生します。
また、これら業務の合間を縫って、先進的な治療や手技の会得、学会への参加など、自分の医療水準を維持するために知識と技術を研磨することもしなければなりません。
理想の医療を追求するためには、医療水準の維持は重要であり、そこに時間を割くことがクリニックを成功に導くための肝とも言えます。そして時間を作るには、医師でなくてもできる事務作業や企画業務は、外部に任せる、または相談してアイディアをもらうことが重要です。
開業後の支援・サポートを行っているコンサルティング企業の中には、集患に関する企画や広告作成、資金繰り、経理など、医療に関わらないことの多くをサポートしているところが多くあります。
開業時から関係性を築いてきたコンサルティング企業であれば、経営のフェーズに合ったサポートや、ご自身が考える理想のクリニックに沿った提案をしてくれることでしょう。
自分の「やるべきこと」と「やらないこと」を振り分け、「やるべきこと」に全精力を集中させることが、クリニック開業を成功させるためには重要です。
そして自分がやるべきことをするために、開業支援実績があり、開業後の支援・サポートを行っているコンサルティング企業を活用することが賢い選択と言えます。
餅は餅屋に任せて、独立への道を順風満帆なものにしていきましょう。
初めてクリニックを開業されるのであれば、開業前の支援だけでなく開業後の経営サポートが手厚いパートナーを見つけておくことが成功への近道です。ここでは各エリアでの開業支援実績が確認できた企業のみをご紹介しています。クリニックの健康運営に欠かせない人材確保や資金繰り、事業計画や診療圏調査をはじめとした専門的なアドバイスを受けられるコンサル企業を探してみてください。
※一部のエリア（地図内のグレーの都道府県）については現在ページ作成中となっております。ご迷惑をお掛け致しますが、随時エリアページ及び紹介企業をを追加して参りますのでこのサイトをブックマークして少々お待ちくださいませ。
※2022年5月19日調査時点の情報です。
クリニック開業コンサルティングを行っている企業には、コア業務によるタイプ分けをすることができます。それぞれに得意とする分野があるので確認してみましょう。
クリニックの開業や経営に特化しているのがコンサルティング専門企業の特徴で、多くの場合、開業までの長いプロセスをワンストップで支援し、煩雑な事務作業もしっかりサポートしてくれます。大手から個人事業主まで規模はさまざまで、依頼内容によってコンサルティング費用も大きく異なります。開業準備を全分野的に支援して欲しいというドクターにおすすめです。
大手の調剤薬局チェーン企業が手がけるクリニック開業支援で、調剤薬局店舗数の拡大を目的としています。クリニックの集患が自社の利益にも直結するので、開業前だけではなくオープン後も手厚いサポートが期待でき、コンサル費用自体を無料で請け負ってくれる企業も多数あります。開業前の必要な業務はさまざまな専門業者と連携をしており、各社でブレーンを抱えているケースやドクターご自身に税理士などがいる場合は協業していくスタンスのケースも見られます。処方箋を出す診療科のドクターで開業の初期費用を抑えたい方は、調剤薬局企業のサポートを利用するのもいいでしょう。
医薬品卸や医療機器販売・レンタルを主とした企業が行っているケースです。医療系の商社や医療機器販売メーカー等によるコンサルは、他の医療機関やエリアの情報に精通していることが強みと言えます。こうした企業の開業支援は営業マンが相談に乗る程度の無料サービスという場合も多くありますが、専門のコンサルティング部門を有している企業であれば充実したサポートが受けられるでしょう。開業予定の地域状況について情報を把握していない方、将来的にエリア展開やスケールしたい方など、医療連携をうまくやっていきたいというドクターにおすすめです。
医療系の人材派遣企業がクリニックの開業支援を手がけているケースもあります。スタッフ確保に苦慮するクリニックが多い中、人材派遣企業を利用して外部委託を選択する開業医も増えています。開業後に医事会計や診療報酬制度に精通した事務スタッフを派遣することを前提としたコンサルティングを行ないます。開業当初から医療に専念したいドクターや、スタッフ確保が不安、優秀な事務スタッフが欲しいというドクターは人材派遣業の開業支援を検討することも視野に入れてみてください。
開業後の顧問契約を前提として、税理士事務所が開業に向けたサポートを行ないます。税務面や経理面の課題を安心して任せられるのが魅力です。得意分野や方針が企業によって異なるので、どのような支援が必要なのか、開業医のニーズに合わせて依頼先を選びましょう。まだ顧問税理士が決まっていない場合や、準備段階から開業後まで同じ税理士に相談したいというドクターにおすすめです。
金融機関や保険会社がクリニックの開業支援を行なう部門を立ち上げているケースです。数字に強くシビアな見方で実現性の高い事業計画の策定をサポートしてくれるでしょう。あえて医療とは一線を画した、経営に徹した視点からのコンサルティングを受けられるのがメリットです。数字のプロに厳しく判断してもらい資金面での不安を減らしたい方は相談してみるといいでしょう。
不動産業が手がけるクリニック開業支援の特長は、やはり物件情報が豊富なことでしょう。全国にネットワークを持つ企業も多く、戸建てからメディカルモール、ビルテナントなどドクターが理想とするクリニックに合わせた物件を提示してくれます。実績のある内装業者などの紹介も期待できそうです。できるだけ多くの物件を見て、幅広い選択肢の中から決めていきたいというドクターにおすすめです。
医療機関の建築設計に力を入れている企業も開業コンサルティングを手がけていることがあります。ハウスメーカーや設計事務所といった企業が多く、ロードサイドでの戸建て開業のほか、クリニックモールの企画開発に力を入れているケースもあります。ハード面以外のコンサルは、他の業者と連携を組むことになるでしょう。外観や内装・レイアウトにこだわりたいというドクターは、こうした企業に相談するのも一手です。
クリニックを開業するうえで、立地や建物の形態はその後の経営戦略にも関わってきます。戸建て・テナント・医療モール・承継物件と、それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分の目指すクリニックの形に合っているのかを熟考したうえで選ぶことが肝心です。どういった形態が自分に合っているのか分からない場合には、コンサルタントに相談してみるのも良いでしょう。
クリニックの建物を新たに建てて開業する方法です。新築なので外観やレイアウト、内装の自由度が高く、ご自身の理想を追求しやすいのが戸建て開業のメリット。その反面、土地代や建築費用で初期投資が大きくなるため、事業計画や借入金の返済計画は十分に検討しなければなりません。開業のタイミングで住まいと併設を予定している方は多いと思うので、しっかり試算してください。
ビルや商業施設などの一区画を賃借して開業する方法です。日中人口が密集しているエリアであれば認知度が上がり、高い集患力を期待できるのがメリットです。建物の構造や設備の状態によっては、内装レイアウトや大型医療機器の設置などに制限を要する場合があるので注意が必要です。
医療モールは多くの場合、すでに商圏調査がされて集客が見込めるエリアで展開されており、当然ながらクリニックしか入居してないので診療や治療を必要としている方に対しての高い認知度と集患力を期待できます。他のクリニックとの連携がうまくいけば、相乗効果を得られるのがメリット。ただし、診療科が重複すると入居は難しく、モール内の他クリニックの評判によってはマイナスの影響を受けることもあります。
閉院予定のクリニックを引き継いで開業する方法です。うまくいけば患者をそのまま引き継ぐことも可能で、いわゆる「居抜き」のため初期投資も抑えられるのが大きなメリットです。ただ、タイミングよく承継案件が出てくるとは限らず、内装や設備が古ければ逆に費用がかさんでしまうかもしれません。
どのような形態で開業するとしても、クリニックの建物をどうするかという問題は避けて通れません。ハード面においては開業後に簡単に変更や改修することが困難なケースがほとんどですので、ご自身の理想とするクリニックにマッチするよう物件選びは慎重に行いたいところです。
クリニックの開業はゴールではなくあくまでもスタートです。スムーズなスタートを切り、医院運営を成功に導くためには、開業前後での注意すべきポイントを開業準備段階で把握しておくことが重要です。
開業に至るまでには多くのプロセスがあり、一つひとつを確実にクリアしていかなければなりません。資金面や人事面、諸々の申請手続きといった医療以外の知識を求められる場面も多いため、ご自身だけでそれらに対応するのは非常に困難と言えます。
準備段階で見落としがちなのが、クリニックの診療方針や競合医院との差別化、つまりどのように患者に選ばれるか？という戦略です。開業を予定する診療科にもよりますが、開業医に求められるのは医者としての技術や経験だけでないことを十分に理解しておきましょう。
実際にクリニックをオープンすると、今度は経営をどのように安定させていくかという大きな課題に向き合うことになります。多くの場合、開業費用を全額自己負担することはないので、利益を出して生活を安定させ借入金を返済していかなければなりません。日々の診療を行いながら収支や労務管理など、経営者として考えるべきことは尽きず、すべてを1人で行うことは難しいと言えます。長期的に経営をしていくためにも無理は禁物です。
クリニックを開業することも大変ですが、実は開業後に経営を安定化させることのほうがずっと困難なもの。だからこそ開業準備だけではなく開業後の経営面も引き続きサポートしてくれるコンサルは頼りになると言えます。
通常の事務所や店舗などを開業する場合と違い、クリニックともなると物件選びにも専門的な知識が必要になります。ご自身にとってどういった物件が適切なのか、判断基準を設定するためにも事前に物件選定の注意点を抑えておくことをおすすめします。
クリニックのオープン予定日を定めたら、そこから逆算して諸々のスケジュールが決まっていきます。コンサルのサポートを受ける場合であっても、ご自身でしっかりスケジュールを把握しておきましょう。
クリニック開業準備にはさまざまなプロセスがありますが手順も大切です。どのタイミングでどんな作業を行なっていくべきか、コンサルにサポートを依頼するなら進捗を共有して、やり残しがないように進めていきましょう。
クリニックの開業というスタートを果たした後、開業後はゴールに向けてどんな展開ができるかご存知でしょうか。開業後のゴールイメージとしては主に4つの選択肢があります。開業を検討した段階で、開業医としてのビジネスプランを始めご自身やご家族を含めたライフプランを勘案した将来的なビジョン設定をしておくことをおすすめします。
医療法人化の最大のメリットは節税対策でしょう。ご自身の報酬も給与として所得控除を受けられ、個人課税は法人課税に切り替わって税率も下がります。事業拡大も個人で行うよりも容易になります。その反面、運営管理が複雑になることや、非営利性が生じるため出資金が出資者に分配されないといったデメリットも存在します。
単純に診療拠点が増えることで収入が増えるのは分院開院のメリットと言えます。本院の開院時に培ったノウハウを分院のオープンに活かすこともできるでしょう。ただ、管理するクリニックが増える分だけリスクも相応に上がります。分院に目が届かないという危険性があることを理解し、対策を打っておくべきです。
後継者がいない場合は、将来的な事業継承も視野に入れておくといいでしょう。「売る側」の視点に立つと、既存患者に診療を継続して届けることができたりスタッフの雇用先を確保できたりするだけでなく、まとまった対価を得られるのは大きなメリットです。ただ、タイミングよく承継を希望するドクターが現れるとは限らず、また、承継するドクターが見つかっても診療方針が変わってしまう可能性は否めません。
クリニックの建物や土地が自己所有であれば、第三者にクリニックの経営権を譲渡して、ご自身はオーナーとして収入を得る賃貸借契約を結ぶという方法もあります。この場合も、譲渡を受けてくれるドクターがいるかどうかという課題が出てきます。
開業前に開業後のゴールイメージを持つことは非常に重要です。そのためにはビジョン設定や長期的な事業プランニングを得意とするコンサルに、未来へのロードマップを描くためのアドバイスを受けるのは得策と言えるでしょう。
クリニックの開業を成功させるために欠かせないのが費用についての知識です。オープン直後は売上も少なく、加えて診療報酬の入金は2カ月遅れという問題もあります。できるだけ初期投資を抑えて返済に苦しむことのないよう、余裕を持って開業を迎えたいところです。
診療科や開業形態にもよりますが、クリニックの開業には多くの資金が必要です。土地建物といった不動産から医療機器、内装、さまざまな必要経費を見積もって、オープン後の売上で投資を回収できるのか、しっかり計画を立てることが重要です。
自己資金だけでクリニックの初期投資をすべてカバーできるケースは少なく、多くの開業医は金融機関の融資による資金調達を受けています。そのためには実現性の高い事業計画を立案し、金融機関の理解を得ることが欠かせません。
新規に起業する場合に給付を受けられる国や自治体の補助金制度の多くは、クリニックの開業も対象になります。目下の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う医療機関向けの助成金も出ているので、忘れずに申請して給付を受けましょう。
政府系の金融機関である日本政策金融公庫は、一般的な金融機関の融資に比べて金利や返済期間で有利なケースが多いので、クリニック新規開業の際にはぜひ検討しましょう。そのためには事業計画をしっかりつくり込むことが重要です。
クリニックの開業コンサルの費用は決して安くはありません。しかし企業によっては開業後のお付き合いを前提に無料でコンサルを行なうケースもあります。コンサル内容がニーズに合っていれば、そうした企業に依頼するのもいいでしょう。
勤務医から開業医にシフトするということは、経営者としてクリニックを守っていかなければならないということです。災害や医療訴訟のリスク、ご自身の健康トラブルなど、万一に備えて加入すべき保険について知っておきましょう。
クリニック開業にはほとんどの場合1,000万円単位の予算がかかると言われています。投資額をできるだけ早く無理なく回収するためには、資金繰りや経営についての支援実績があるコンサルをブレーンとして抑えておきたいところです。